もしも投資信託を相続したら?-相続税と所得税で考え方が違う

相続について考える

※この記事にはプロモーションが含まれます。

 

 

しがらみゼロのFPブロガーMisaki(@fpmisaki2)です。

 

まだまだ預金が主流とは言え、つみたてNISAの広がりにより、徐々に投資を始める方は増えてきています。

投資のプロでもなく、投資のために時間を犠牲にしたくないという、ごく普通の家庭で資産形成のために投資を取り入れる場合、一番分かりやすくておススメしやすいのが長期インデックス投資です。

 

長期インデックス投資は、10年を超える長い間、感情を排除してコツコツと積み立てる方式です。

 

そのため、一度始めてしまえば、規模や資産配分は変わったとしても、一生モノとなる可能性が高い投資手法です。

 

ということは、考えておきたいのが、次の世代へのつなぎ方。

そう、いつか発生する相続のお話しです。

 

Tsubasa
いやいや、そんな先のこと考えたくない
Misaki
まあね。

でも、いつ何が起こるかは分からないから、知っておくことぐらいはアリじゃない?

 

他にも、親世代が銀行などで薦められて買っちゃった投資信託を持っているかもしれませんよね 😐 

想定外で自分が受け継がれる立場になることだって、十分にあり得ます。

こちらの記事でも書きましたが、始めたからには終わらせ方をしっかりと考えておくことは大事ですよね。

 

そこで、投資信託を相続した場合に発生する、税金にまつわる基礎知識を見て行きたいと思います。

 

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相続税と所得税では、評価の仕方が変わるので注意!

投資信託を相続する場合、関係してくる税金は2種類あります。

  1. 相続税:相続をしたときに発生するもの。
  2. 所得税:相続後に投資信託を売って、利益が出た時にかかる税金。

 

この2つ、税金を算出するためのベースとなる「評価」の方法が違うんです。

ごちゃごちゃになりがちなので、順を追って確認しましょう。

 

相続が発生した時には、「相続税評価額」というものを算出し、それをベースに相続税額を計算していきます。

 

相続税評価額の考え方は、こちらをチェック

細かい計算式は、関連記事をご覧いただきたいのですが、投資信託の「相続税評価額」は、相続開始日の基準価額で算出されます。

もしも、亡くなった日に全部売ったとしたら、いくら手元に残るか? という考え方で計算されるわけですね。

 

一方、投資信託を相続した後で売却した場合には、いったいいくら増えたのか? という考え方で税金を計算します。

この時、買った費用(=取得費)は、被相続人の取得費を引き継いで計算します。

例えば、父が1,000万円のお金を払って買った投資信託があったとします。
父が亡くなったときには、1,200万円に増えていました。
その後、満足いく利益額に達したので、3年後に1,100万円で売却しました。

このケースの場合、
相続税評価額は1,200万円、所得税の計算に使う取得費は1,000万円となります。

売却益は1,100万円-1,000万円=100万円となりますので、

100万円✕20.315%=20万3,150円が譲渡益に対する所得税となります。

Tsubasa
こうして計算してみると、税金って本当に高いよねぇ

 

相続税評価額が1,200万円だったから、それを下回っているから税金がかからない! という誤解をしがちですので注意してください。

あくまでも、被相続人が買った額が、ベースになります。

 

簡単にまとめると、

相続税評価額
相続発生時に決まるので、時の運(コントロールはできない)

 

売却時の所得税
被相続人の取得費>売却額 なら0円
被相続人の取得費<売却額 なら売却益✕20.315%分 

ということになります。

相続した投資信託を売却するタイミングに関しては、今売ったら税金がいくらかかるか? ということも含めて、総合的に判断するのが理想ですね。

 

NISAの場合、取得費の考え方が変わってしまう!

一般的な投資信託の場合は、これまでご説明してきた考え方に立つのですが、NISAになると話が変わります 🙁 

NISAの場合には、取得費は死亡時の時価を承継することとされています。

 

被相続人のNISA口座の残高を、相続人のNISA口座へ移管することはできないため、相続人の課税口座へ移管されます。

そのため、いったん相続発生時点で売却したという扱いになり、相続時の時価が取得費になるのです。

例えば、父が1,000万円のお金を払ってNISA口座で買った投資信託があったとします。
父が亡くなったときには、含み損が出ていて900万円になっていました。
その後、相場も回復し、使う必要が出たので、3年後に1,000万円で売却しました。

このケースの場合、取得費は900万円です。

売却益は1,000万円-900万円=100万円となりますので、

100万円✕20.315%=20万3,150円が譲渡益に対する所得税となります。

 

Tsubasa
1,000万円で買ったものを、1,000万円で売ったのに、約20万円の税金がかかるのね!

 

相場をコントロールすることはできませんので、こればっかりは運次第。

もし、含み損の状態でNISA口座の投資信託を相続した場合には、税金のことも考慮が必要だということを頭に入れておきましょう。

 

節税対策は大事だけれど、踊らされすぎてはいけない

相続をしたとき、何かを売って利益が出たとき、お給料をもらったとき。

あらゆる場面において、「税金」がつきまとってきます。

 

そのため、資産が多い人ほど、とにかく節税対策をしなければ! と、いろいろな策を施し始めます。

 

不動産の持つ税額優遇を受けるために、アパート経営を始めるなんていうのがいい例です。
目先の節税に惑わされた結果、収益性の低いアパートと借金だけが残るなんて、あまりにも悲しすぎます。

 

今回は、投資信託の税制に焦点を当ててみましたが、コントロールが難しいものだということは感じていただけたと思います。

ですが、税金の知識を持っておくことによって、置かれた状態の中で最善の方法を取ることができるのか? という判断がつくようになります。

 

相続税が絡む案件の場合は特に、

  • コントロールができないこと
  • 無理してコントロールをしない方がいいこと
  • 上手に優遇税制を活用した方がいいこと

これらの違いを冷静に判断できるように、知識と情報を仕入れておくことが大事です。

 

おわりに-相続はオマケ。自力で資産を築く力をつけることの方が重要です!

子どもたちの将来が心配だから、多くの資産を残してあげたい。
せっかくの親の資産なんだから、子世代がしっかり使いたい。

そんな様々な思いが交錯した結果、望まない”争族”につながってしまうことがあります。

家族が仲良く、揉めることなく過ごせるように、相続には早めに向き合っておいた方が安心です。

 

そして、何よりも相続すべきことは、自分たちでしっかりと生活の基盤を作れる力(マネーリテラシー)なのです。

 

基本的なことをしっかり押さえたうえで、長期インデックス投資を始めて、それを続けて行くことができていれば、それなりのマネーリテラシーは身についていくはずです。

 

あとは、子ども世代にも教えてあげて、お互いに自立して生活できる状態を作っておく。

そんな好循環を生み出すことができるように、コツコツと努力をしていきたいですね!

 

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大空みさき
はじめまして、大空みさきです。

「お金のことを知ることが、実は最強の投資術。」
ふつうの会社員だった私が、生命保険の値上がり宣告をきっかけにFPの資格を取って、たどり着いた結論です。

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